「Trick or Treat!!」
「…………やりそうだとは思ったが」
ドアを開けるなりのクラッカー音とそんな口上に、まさか本当にやるとはなと褐色の肌に銀髪、
黒づくめの男が言いました。ピンと尖った耳が呆れて痙攣する眉間の様にぴくぴくと動きます。
青くてふさふさした耳と尾っぽを持った狼男は、頭を掻きながら「まあそう言うな、お約束だろ
うがよ」と笑いました。
黒い男は溜息を吐きます。
今日はハロウィンです。
「…子供ではあるまいし、ここらを一周、などと馬鹿な真似をするなよ」
「こんな辛気臭い森の外れに住んでる様な奴お前以外にいねえよ。立ち話も何だし、邪魔するぜ?」
あくまでも話の主導権を狼男が持っていこうとするので、何だか馬鹿らしくなって黒い男が折れ
ました。
「……菓子は無いぞ」
狼男はにこっと笑います。
「俺は酒がありゃ何でも良いよ」
「だから何故お前はそう――俺は?」
「酷いですよーじゃあボクはどうするんですか」
可愛らしい声が狼男の腰の辺りから聞こえました。
ひょこりと頭を出したのは、まさにハロウィンがお似合いの小さな子供です。白いブラウスにサ
スペンダー、黒のズボンに小さなマント。世にも可愛らしい吸血鬼でした。狼男は己の手柄のよう
ににやにやしました。
「んだよ、こんなちっこいのに酒飲ます気か?道徳的にどうよそれ」
「そうですよ」
「ほう…正装で御出座しか、珍しいな」
黒い男も感心したように眺めます。そう長い付き合いでも無いですが、ここまで全身コーディネ
ートした子供を見るのは初めてです。
「折角ですもん。こんな日でないと着ませんよ肩凝っちゃいます。で、お菓子くれるんですか?そ
れとも悪戯しましょうか?」
後者を選んで下さっても全然構いませんよ〜という言い振りの小さな吸血鬼に、黒い男も相好を
崩しました。
「君の悪戯は何があっても回避したいな…しかし男の一人所帯、自分の為に菓子など作る筈も無い
だろう。仕方が無いな、少し待てるか?」
「良いですよ!期待してます」
「おう、美味いもん作れ」
「お前は違う!」
おら、と狼男が小さな吸血鬼を先に行く様に促します。
後を付いて横をすり抜ける狼男、黒い男が引き止めました。
「何だ?」
「で…お前は私にどんなお菓子をくれるんだ?」
狼男は少し目を見開いた後、いやらしい笑みを浮かべました。
「……菓子なんざ持って来るかよ。坊主が寝た後、好きなだけ悪戯しやがれ」
夜は随分長い物になりそうです。
はい。槍と弓と小金でした。
槍が狼男、弓はなんかの人外(?)、金は吸血鬼です。
弓は何を想像しても悩む感じだったので一捻りどころか!まあ置いて置きます。恥ずかしいです。
弓は図体のでかい子供枠エントリーなのでこれで良いのです!です!(?)
この後小ギ様が寝付いた後テーブルの上で云々で、ギ様が覚醒して大変な事になるんだと思いま
す。
後多分この槍と小ギ様はカレンの手下状態で、可愛らしいお菓子の家の近くにあるおどろおどろ
したカレンの仕事場(?)に住んでて「最近はマスターこっち来なくて楽だよなー」「ありがたい話
ですよね!」みたいな感じなんだと。カレンはバゼット弄りで忙しい模様です。
【入】