神と言うモノ…存在…があるなら
「皮肉なものだ」
傲慢や不遜を描いたようなソイツが嘲笑して言う声に
「…何がだ」
十字架に向ける視線に
「この我が、教会などいう場所にいる」
自嘲が混ざる。
英雄王。クラスはアーチャーだが、実力は反則気味の化け物だ。
「…」
今度は完全に嘲笑を浮かべて、俺を鼻で笑う。
「ひねたりなどしてないぞ」
そのようですね、と適当に相槌をうってやる。コイツは人の意見なんて聞いていない。人
の考え自体が、念頭にない。
また、俺から視線を十字架へ戻す。
多分、返事もないならないでいいのだろう。
自我の塊である、金色の英霊。
完璧であったが故に、神々を卑しんだ。取るに足らないと思ったモノ(神)に、しかしそ
こから生み出されたモノ(友)を与えられ、奪われた。
俺もギルガメッシュも神に連なる。そして今は英霊として、現世を彷徨っている。
悲劇だと、言えたかもしれない。
「駄犬」
「誰がだ」
言葉に被せる。いくら言っても聞かないのは分かってるが、こうなったら癖みたいなもん
だ。
「お前は祈る、というのをするのか」
意外な質問。いや、質問する、人の意見を聞こうとすること自体が意外だ。
まぁそれでも
「いや、しないな」
即答するけど。
「自分のことは自分でする。カミサマだか何だかにイチャモンつけられたかないね」
これは、当たり前すぎて笑いが出る類の質問だ。それを…コイツが?
「セイバーは祈っていた」
零す。そして
「分らん」
あぁ、コイツ、やっぱり人の意見なんて、聞いてない。
苛立つと同時に、安堵する。
やっぱりコイツだ。
「分らないなら分らなくていいんじゃないスか〜?」
適当に、しっかり皮肉を込めて言うと、やっぱり聞いてなくて
「やはり本人に聞くのが一番だ」
方向転換し…
教会が暗いからだ。それか錯覚だ。
扉を開いたギルガメッシュが、光を浴びて黄金に輝いた。
「あぁ、チクショウ」
ギルガメッシュは根本から、英雄の王なのだ。
【果林糖】
果林糖さんから頂いた金槍小説です。(言い切り)
ギル様のかっこよさに涎とか垂らしまくる勢いです。
本当にありがとうございました!!!是非!!また!!(笑)
【突】